ポルシェがテスラに次ぐ独自の充電設備を持つ自動車メーカーへ

ポルシェがテスラに次ぐ独自の充電設備を持つ自動車メーカーへ

ポルシェの電気自動車と言えば、現在発売されているのはポルシェタイカンの1種類のみとなっていますが、先日年次総会を開催した際に、2023年に新型電気自動車であるマカンを、そして2025年には同じく全電気自動車であるボクスターを市場に導入する予定であると発表したばかりです。

世界各国の自動車メーカーが、こぞって新型のEVを発表し続けている昨今において、ポルシェが近いうちに新しい電気自動車を販売開始するというニュースは目立って目を引くものではありませんが、その年次総会の中でもうひとつ重要な施策が発表がなされました。

ポルシェは独自の世界的なEVの充電設備ネットワークの構築をすることを決定したのです。

目次

独自の充電スタンド設備が持つ意味とは

実は、電気自動車の販売をしている自動車メーカー、これから発売する予定である自動車メーカーを含めて、ブランド独自の充電設備を持っているのは世界を探しても前例がたったの1つしかありません。

そのひとつとは、今や世界ナンバーワンのEV販売台数を誇り、当然シェア率もグンを抜いて高いテスラ社となります。

テスラは現在、独自の急速充電器(スーパーチャージャー)ネットワークを所有・運営している唯一のブランドであり、それが普及に大いに役立っていることは誰が見ても明らかです。他のいくつかのブランド、主にEVの新興企業も、独自の充電ネットワークを導入する検討もしているようですが、常にDC急速充電よりもレベル2充電に焦点が当てられているようです。

※レベル2とは、主に公共の充電ステーションに設置され、商用ビルで使えるより高い電流に接続することができる程度のものです。20kWhのバッテリーを最大まで充電するのに8時間程度かかります。

また、レガシーの自動車メーカーに関しては、ほとんどが「世界最大の充電ネットワーク」を提供することを発表していますが、これらのブランドは、すでに存在しているサードパーティの充電会社と提携しているに過ぎないのです。電気自動車の普及台数が比較的多い、米国の公共充電ポートの大部分でさえ、まだレベル2充電なのです。

ポルシェの充電ネットワークの動向

ポルシェはすでに、欧州のIonity、北米のElectrify AmericaとElectric Canadaを含むサードパーティーの充電会社とパートナーシップを結んでいます。同社CEOのオリバー・ブルーメは、ポルシェが充電インフラを、パートナーシップを継続しながら、独自のネットワークの計画に取り組んでいることを明らかにしました。TechCrunchによると、ブルーメはこう説明しました。

我々は、パートナーと共にプレミアム充電ステーションに、そして我々自身の充電インフラに共同で投資しています。

ポルシェによると、独自の充電ステーションは、EVを充電中の待ち時間で、所有者が休んだり、仕事をしたりするためのラウンジを完備する予定のようです。ポルシェの最近の発表に関連した記者会見で、副会長兼執行役員のルッツ・メシュケは、TechCrunchを通じて次のようにも語っています。

充電だけでなく、より利便性の高い方向に持っていくことも重要です。そして、それは私たちにとって、車の電動化だけでなく、車を超えたカスタマージャーニーについても焦点を当てることが非常に重要なのです。

同ブランドは、オーストリア、ドイツ、スイスなど、インフラへの需要が高い地域を中心に、来年から最初の充電ステーションの整備を開始すると述べています。欧州での最初の展開に続き、中国と北米にも拡大する予定です。(日本は未定)

現時点では、ポルシェが自社のネットワークでDC急速充電に注力するかどうかは明らかにされていません。ポルシェは、自社のレベル2ネットワークにも注力していますが、既存のメーカーのように急速充電をサードパーティ企業に依存することはあまり考えにくいと言えます。

上記のブルーメCEOの言葉には、「パートナーと共にプレミアムな充電ステーション」と記されており、ポルシェ独自のネットワークに関する部分には「プレミアム」が省かれているため、これが何を意味するのか、正確なところは誰にも分かりません。

ただ、もしテスラのスーパーチャージャーのような圧倒的な独自の充電設備を用意出来なかったとしても、上述しているようないわゆるポルシェラウンジはオーナーにとって様々な恩恵があることでしょう。ポルシェユーザーにのとっての付加価値がそこでつけば、テスラのような完全独自な充電設備を持っていなくても、普及するには十分な決め手となります。

ポルシェは、ステーションの数、コスト、その他の注目すべき詳細についてはまだ明らかにしていません。しかし、このネットワークがポルシェのEVのオーナーのために確保されることは間違いありませんね。

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