V2Hとは一体何?電気自動車から見たメリットやデメリットはあるの?

V2Hとは一体何?電気自動車から見たメリットやデメリットはあるの?

太陽光発電や蓄電池、電気自動車が普及するに伴って、V2Hという言葉を目にする機会が増えてきました。

2019年の卒FIT以降、売電収入を得る目的から自家消費にシフトし始めた太陽光業界ですが、生み出した電気を溜めて使うことを可能にした蓄電池の購入も爆発的に増え、今では太陽光発電と蓄電池はセットで導入することが当たり前の時代となっています。

蓄電池の普及がどんどん進んできていますが、最近はV2Hという言葉を耳にするようになりました。V2Hとは「Vehicle to Home」(車から家へ)の略称です。電気自動車にも大容量のバッテリーがついていますが、そのバッテリーを蓄電池代わりに利用してしまおうというシステムがこのV2Hというわけです。

そこで今回の記事では、家庭全体で見てどういう利点があるのかに注目するのではなく、V2H機器を導入することによって電気自動車にとってのメリットやデメリットがいったいどういうものがあるのかを詳しく紹介していきます。

目次

V2Hには専用の機器がいる!

V2Hには専用の機器がいる!

「Vehicle to Home」(車から家へ)の略称ということからもある程度理解出来るとは思いますが、V2Hとは電気自動車に溜めた電力を家庭内で利用出来るようにすることを広く指しています。

現在の技術では電気は直流でしか溜めておくことが出来ませんが、家庭内で利用している電化製品は全て交流でしか動きません。電気自動車から家へ電力供給を行う場合は直流の電気を交流に変換する必要があります。

太陽光発電で生み出した電力も蓄電池に溜めておいた電力も全て家庭内で使う為には交流の電気に変換しなければならないので、どのシステムを導入するとしても必ずその変換の役割を担ってくれるパワコンというものを設置する必要があります。

V2H機器というと難しく聞こえてしまいますが、要は電気自動車用のパワコンなのです。

V2Hのメリット

V2Hのメリット

V2Hの機器について軽く説明したところで、そのパワコンを設置することによって電気自動車側にどういったメリットがあるのかを紹介していきます。自動車は通常移動目的で利用するものです。普段使いを行うことに支障をきたしてしまうなら他にどんなメリットがあったとしても、この大きなデメリットによって相殺されてしまいます。

倍速充電が出来る

V2H機器のほとんどが、倍速充電を行うことが出来るので通常の200Vコンセントと比較して充電時間を半分にすることが出来ます。

通常であれば、朝には満充電にしていたのに、数時間程度お出かけをして昼頃に帰宅しても充電が必要となってしまうケースがあり、家の充電スタンドから給電をする場合は時間がかかってしまうことがネックでしたが、V2H機器を導入すれば充電時間を大幅に短縮することが出来ます。簡単に言うと2倍の頻度で電気自動車に乗ることが出来るというわけです。

電気自動車自体にガソリン車と比べると満充電での航続距離が短いというデメリットがあるのですが、充電完了までの時間を減らすことで、相対的に1日の航続可能距離を伸ばすことが可能となるということです。普段使いが今まで以上にスムーズになります。

V2Hのデメリット

V2Hのデメリット

あくまで電気自動車側にとってのメリットを紹介したので、メリットと言えるものはたったひとつしかありませんでしたが、逆にデメリットと思える面も以下のひとつしかありません。

バッテリーの寿命が若干早まる

V2H機器を利用して電気自動車から家庭内に電気を送ると、電気自動車のバッテリーの充放電回数が増えてしまうので、単純に普段使いのみで利用する場合と比べるとバッテリーの劣化が早くなってしまいます。

一般的にはおおよそ5年間で走行距離が10万キロに到達したら交換の目安だと言われていますが、そもそも家庭用の蓄電池と比べて大容量でしかも性能にも優れているので、劣化が早まるといっても誤差程度です。

また、バッテリーを長持ちさせるコツとして満充電のまま放っておくのではなく、常に80%程度の充電で走行し、20%程度の充電を残して充電を開始するというサイクルが推奨されているので、100%の充電を完了してすぐに家庭内に電力供給して80%程度になるまでは電力供給するようにすれば、むしろバッテリーの劣化は進みにくくなります。

車種によっては60kWhの大容量のバッテリーを備えた電気自動車があり、通常家庭に設置される蓄電池の容量が4.5kWh~6.0kWhであることを考えれば、100%のフル充電から80%まで電気を使用するとしても12kWhほど余裕があります。家庭内の全ての電化製品に電気自動車に溜めた電気を利用したとしても減る容量は数%程度です。大きなデメリットではありませんね。

まとめ

今回はV2Hとは一体何なのか、電気自動車にとっていったいどういうメリットがあって、どういうデメリットがあるのかを紹介してみました。

充電にかかる時間を減らすことが出来るのは、非常に大きなメリットではありますし、デメリットで紹介したバッテリーの劣化が早くなるという面も目立つものではないので、電気自動車にとってもV2H機器を設置するというのはプラスになる点が多いというのがわかりますね。

V2H機器の設置自体は電気自動車の購入時に相談することが出来ますし、後から設置することも可能です。V2Hの機器の値段や設置に掛かる費用は以下の記事で紹介しているのでそちらも合わせてご確認ください。

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