ブリヂストンが電気自動車の普及を見越してEVタイヤの生産に移行か
タイヤの販売台数で世界ナンバーワンを維持している日本のブリヂストンがEV用のタイヤ販売路線に焦点を変えることを発表しました。
日本の企業は将来に向けてかなり大胆な目標を掲げている事実があり、日経アジアの報告によると、2030年までにEVタイヤが新車用タイヤの売上の90%を占めるだろうと予測しています。
2020年代に入って急激に加速している自動車業界の完全EV移行化…世界最大のタイヤメーカーのひとつであるブリヂストンも、例外ではありません。
今回はブリヂストンが計画中のEV用のタイヤ生産の概要について紹介していきます。
目次
ブリヂストンの今後の動きは?
EV用のタイヤは、2021年現在時点でもゴムやその他の材料の使用量がガソリン車のタイヤと比べて少なくなっており、さらに摩擦による抵抗も30%程度少ないので、20%程度の軽量化も約束されています。
今後EV用のタイヤに徐々にシフトして行く発表はしていますが、実はすでにEVを生産しているレガシー自動車メーカーで実績を挙げており、フォルクスワーゲンのIDモデルにタイヤを供給しています。
また、2023年には欧州ブランドへの供給を拡大し、顧客向けの小売販売を開始することを目指しているのです。
2022年末に生産を開始する予定のフィスカー社の電気自動車用SUVにもタイヤを供給する計画があることに加えて、確定的ではありませんが、電気トラック用のタイヤの製造も示唆しており、すでにEV用の自動車メーカーにタイヤを供給している世界的な大手のミシュランに対抗する形です。
この目標を実現するために、中国や韓国の低価格ブランドとの競争をやめ、2021年中に欧州でのガス車用バジェットタイヤの生産を終了する予定となっています。EV化の進みが早い欧州ではEV用のタイヤにいち早く対応するために組立ラインが変更される最初の市場なのです。それ以降は順次、日本、アメリカ、南米でも同様の生産転換が行われます。
ECOPIA EV-01
実は、新車に装着されているタイヤではありませんが、すでに日本でもEV専用のタイヤとしてこの”ECOPIA EV-01″が販売されています。性能を詳しく見てみましょう。
特徴
同じ電気の量でもより遠くまで走れることを謳っており、道路との接地によって生まれるノイズを極力抑えて、エコピア自身の高い環境を受け継ぎながら、電気自動車のタイヤに求められる性能を追求したタイヤとなっています。
高い低燃費性能
ナノプロ・テック™を採用し、転がり抵抗を軽減することに成功。ガソリン車と比較しても転がり抵抗の影響度が大きいEV車の航続可能距離を伸ばすことが出来ます。
※回生ブレーキにどのような影響があるかは未知数。
高い静粛性
REGNOで培った技術を基に、EV車に最適なパタンを開発。静粛性の高いEV車での走行音を抑え、優れた静粛性能を発揮します。ガソリン車と比べて快適性が段違いに良い電気自動車ですが、ECOPIA EV-01を採用すれば移動中もさらに静かになります。
EV車特有の偏摩耗を抑制
「EV-01 専用新パタン」とナノプロ・テック™を採用。ブレーキ時にタイヤに大きな負荷のかかりやすいEV車の偏摩耗を抑制し、摩耗ライフ性能が向上します。EV車は回生ブレーキを採用しているため、ブレーキ時にタイヤに大きな負担がかかります。それにより、タイヤショルダー部の偏摩耗が懸念されます。EV車にとってはタイヤの耐偏摩耗性能もとても重要なのです。
まとめ
現在、ブリヂストンの乗用車用タイヤは、ガス車用の低燃費タイヤが売上の80%を占めています。中国や韓国において、低価格帯タイヤの人気が半分以上低下していることもEVタイヤに向けての生産に以降するターニングポイントになったのでしょう。
ブリヂストンは世界に50ある自動車用タイヤ工場のほとんどをEV用タイヤの生産に切り替えたいと考えています。もちろんこれには日本も含まれており、現在新車用のEVに対しても標準装備ではないECOPIA EV-01も今後はそれが通常となっていくことでしょう。
今後の動向にも注目していきたいところですね。